前置詞ってややこしいですよねぇ。
ひとつ覚えた、やっと使えるようになったと思ったら、また似たような表現が出てきて混乱してしまいます。
ノックも前置詞には随分と苦戦を強いられてきましたね。
「~の上に」系の単語「above」「over」「on」はそのややこしさを代表する前置詞の一部。
ということで、「above」「over」「on」はそれぞれ何が違うのかまとめていっちゃいましょう。
aboveの意味
さて、「above」の意味はなんでしょうか?
辞書に載っている意味から ニュアンスまで確認していきましょう。
- …より上に、
- …より高く、
- …の上に(出て)、
- …の上流に、
- …の北の方に
- (数量など)…を超える
- (地位・身分など)…より上位に
- …に優って
- …を超えて
- …よりむしろ
出典:Weblio
こちらは、以下に紹介する「on」とは違って、「~の上に」関連の意味だけが連なっていますね。
また、このサイトには「above」のニュアンスを説明するためにこんな画像が載っていました。

これってつまりどういうことなんでしょうかね?
aboveのニュアンス
aboveをニュアンスで説明するならば、こんな感じでしょうか。

目の前に広がる大きな大きな海。
このように、「above」される「下」側にあるもの(海)も、「above」する側の「上」にあるもの(雲)も、いずれもお互いに 一定の距離を保ちながら静的に「あり続ける」イメージです。
上にあるものと、下にあるものの間に空間があり、「 浮いている」といったイメージですね。
その点、真ん中にある太陽も、海に対して「above」であると言えます。
上にあるものと舌にあるものの接点はない場合が多いですね。基本ないです。
こちらの状態を文章にするならば、
There are some clouds flowing above the sea.
雲が海の上に浮かんでいるよ。
The sun is shining above the sea.
太陽が海の上で輝いているよ。
となるわけです。
overの意味
overもまた、「~の上に」という意味を持つ代表的な前置詞ですね。
意味とニュアンスを確認していきましょう。
- …の上方に
- …の頭上に
- …の上をおおって、(おおいかかるように)…の上へ
- …へ突き出て
- 一面に
- …の上をあちこち
- …の全部を
- …の隅々まで
- …を越えて
- 上(のほう)に
- 高所に
- 上から下へ
- 突き出て
- 一面に、全面に
- 遠く離れた所に
- あちらに
- (街路・川・海などを)越えて、向こうへ
出典:Weblio
上で紹介した「above」よりは広義ですね。

こちらもこんな感じで図が載っていました。
こんな堅苦しい図を表示されても、分からないですよねぇ。
ということで、以下にまた分かりやすい図を用意しました。
overのニュアンス
例えばこれを見たことがありますか?
バナナに虫がたかるのを防ぐために、このような虫よけを置くことがありますね。
下に置いてあるバナナに対して、上にかぶせる虫よけは、「over」のイメージを象徴する代表的な図です。

さて、次の例です。
とめどなく流れる川のせせらぎ。川は自然の音楽であり、いつまでも聞いていられます。
こんな川に架かる橋は、「above」ではなくoverですね。

また、上に架かるものは必ずしも中に空間があったり、弧を描いていなくても大丈夫です。
こちらの図を見てみましょう。

友達にもらった大事な本があり、大切に保管したいため上に布を被せて置いておく。
そんな時、被せられる物体(本)に対して、上にかぶせるホコリ除けの布は、「over」です。
被せられるモノに対して、かぶせるものには空間がなくぴったりくっついている、そして弧を描いているわけではないことが分かりますね。
こんな時も、overを使います。
何となくイメージが湧きましたでしょうか?
ですので、上記のイラストをそれぞれ文章にすると、こうなります。
I put the net on those bananas to avoid flies.
虫からバナナを守るためにネットをかぶせた。
They built a bridge over(across) the river.
彼らは川に橋を架けた。
I put a cloth over the book to prevent the book to become dirty.
本が汚くならないように布切れをかぶせた。
onの意味
onは、様々な意味をもっていますが、「~の上に」という意味も含みますね。
代表的な意味と、ニュアンスを確認していきましょう。
- …の表面に
- …の上に
- にくっつけて
- …の身につけて
- を軸にして
- にかけて
- …に接して
- …に面して
出典:Weblio
Weblioは前置詞のイメージを度々図で説明してくれるみたいです。
普通の紙ベースの辞書にはない便利な機能ですね。
紙の辞書を持ち歩く人はもうどんどん消えていくのではないでしょうか?

こちらは比較的分かりやすいですね。
overのニュアンス
上の図からも分かる通り、「on」は「くっついていればなんでも」onとして大丈夫です。
くっついている状態であれば、普通に上に乗っているものだけでなく、それが
下向きであろうが横向きであろうが関係なく「on」です。
ですので、「above」のように浮いていたり、「over」のように一部だけしかくっついてないモノ全体を指して「on」とは言えません。

この図で寝ている猫は車の上で寝ているので、当然「on」が使われるものですね。
A cat is sleeping on the car.
猫が車の上で寝ている。
となります。

また皆さんが馴染みがないのがコレですね。
ケーキの上に乗っかっているイチゴに使われるのは「on」であるのは皆さんすでにご存知かもしれませんがケーキの横部分と下部分に止まっているハエも同様に「on」が使われることができるのです。
つまりこんな感じですね。
Look at the strawberries on the cake. Looks nice! ケーキの上のイチゴを見て!すごく美味しそう!
Hey, there is two flies on the cake. ケーキにハエがのっているよ
Oh, shoot. I got one but where is the other? おっ、なんだ!一つは分かったけどもう一匹はどこ?
It’s just under the plate! プレートのちょうど下だよ!
となるのです。
「above」「over」「on」の違いまとめ
さて、もう大体わかったと思いますがこの3つの違いに着目してまとめていきますね。
接点
「above」「over」「on」それぞれが、「~の上に」というモノ同士の位置関係を示すものでしたが、
上になるものと下になるものが、くっついているかどうかというところに大きな違いがあります。
ポイント
- above…;基本的にくっついていない
- over…;くっついていても、くっついていていなくてもいい。明確に決まりはない。
- on…;くっついていなければならない
意味
上で説明したニュアンス的な部分をまとめてみましょう。
ポイント
- above…;下にあるものに対して、上のものが「浮いている」イメージ
- over…;下にあるものに対して、上のものが「かぶさっている」イメージ
- on…;下にあるものに対して、上のものが「くっついている」イメージ
まとめ
図を多用して分かりやすく、楽しく説明してみましたが、皆さんは「above」「over」「on」の違いが分かってきましたでしょうか?
前置詞は同じ後でも色々な場面で違った使われ方がされるので、これだけじゃなくても沢山覚えなければいけないことがあると思いますが、
少なくともこのようにイラストでイメージをつかめておけば、今後どんな場面で「above」「over」「on」にあたっても、「なるほどね!」と思えるのではないでしょうか。
今日もお読みいただきありがとうございました!